Dental Products News 特別号

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病巣一次疾患制御の観点から見た歯科・耳鼻咽喉科連携医科田中亜矢樹田中耳鼻咽喉科院長/日本病巣疾患研究会理事病巣疾患とは、からだのどこかに源病巣となる慢性病巣(一次病巣)があり、それ自体は無症状でも離れた遠隔臓器(二次病巣)に器質的・機能的障害を引き起こすという概念である。その一次病巣として、歯科領域では、歯周病・う蝕・根尖性歯周炎が主役を演じ、耳鼻咽喉科では口外扁桃炎(扁桃炎)、慢性副鼻腔炎、慢性咽頭炎が主たる一次病巣となりうると考えている。一次病巣となりうる慢性上咽頭炎当院では、病巣一次疾患を制御することが、多くの疾患や症状に対して有効な根本治療であると認識し治療にあたっている。慢性上咽頭炎治療として、1%塩化亜鉛液を上咽頭に擦過・塗布するBスポット治療を行っている。これは、1966年堀口申作先生(東京医科歯科大耳鼻科初代教授)によって、診断的治療法として提唱されたが、現在でも耳鼻咽喉科医の間で普及しているとは言い難い。このBスポット治療を行うことで、当院は耳鼻咽喉科にも関わらずIgA腎症患者約160名が受診し、多くのIgA腎症の根本治療、症状の軽減、薬の減少につながっている。しかしこれら上咽頭炎治療を行っても寛解しないケースにおいては、歯科的一次病巣の診断と治療を含め、近隣の歯科医院と連携を行っている。今回その一例を紹介したいと思う。一次病巣としての扁桃と二次病巣扁桃病巣感染二次疾患と考えられている疾患●急性糸球体腎炎(溶連菌感染後腎炎)●慢性糸球体腎炎●特発性腎出血●紫斑病●内リンパ水腫●肝炎・虫垂炎●IgA腎症扁桃と二次疾患●微熱●ブドウ膜炎●掌蹠膿疱症●乾癬●アレルギー性血管炎●多形性滲出性紅斑●結節性紅斑●アトピー性皮膚炎●慢性関節リウマチ●胸助鎖骨過形成症●筋炎・骨膜炎●アキレス腱炎IgA腎症根治治療ネットワークより引用。出典は形浦昭克、『扁桃-50のQ&A』南山堂慢性上咽頭炎の関与しうる病態(1)病巣一次疾患としての上咽頭炎の役割IgA腎症など腎疾患、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、慢性湿疹、多形滲出性紅斑など皮膚疾患、胸肋鎖骨過形成の痛み、掌蹠骨関節炎、など。(2)局所の疼痛や分泌物による症状咽頭痛、後鼻漏、咳、のどの異物感、など。(3)隣接する臓器への関連症状と調節系への関与頭痛、肩こり、眼痛、めまい、うつ、歯痛、顔面痛、背部痛、自律神経失調、潰瘍性大腸炎、バセドウ病、月経前症候群、生理不順、便秘、易疲労感など。耳管咽頭口に隣接し耳管機能障害(耳管開放症など)との関連。(4)上咽頭が関与する可能性がある特記すべき未解明な側面堀田は2015年9月の第28回日本口腔咽頭科学会総会の教育パネルにおいて上咽頭炎と子宮頸がんワクチン副反応との関連について興味深い学会報告を行った(田中は共同演者)。子宮頸がんワクチン副反応は器質的異常を伴わない機能性身体症候群(FSS)の一部と見做すことができ、上咽頭・大脳辺縁系相関ともいうべき病態が存在する可能性に言及。多方面の専門家の参画により、上咽頭と機能性身体症候群との関連が将来的に解明されるかもしれない。上咽頭はどこにある?ビデオスコープによる上咽頭炎の診断上咽頭正常異常口蓋扁桃上咽頭を1%塩化亜鉛液を含ませた綿棒で擦過・塗布するBスポット治療を実践し、それでも改善がない場合は、歯科的一次病巣を考え、歯科との連携を行っている。正常であれば血管の走行が明瞭である。血管の走行が不明瞭。上咽頭を1%塩化亜鉛液を含ませた綿棒で擦過すると出血する。この治療を繰り返し行うことで、正常化していく。08