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口腔内清掃状態測定器を活用するキャンブラカリスクリーンCAMBRA TMにおけるCariScreenの有用性麻生幸男静岡県静岡市開業井澤宏之麻生歯科クリニック1.CAMBRA TMを用いた予防実践CAMBRA TMは「Caries Managementby Risk Assessment :リスク評価に基づくう蝕管理」の頭文字を取ったもので、2003年にUCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)のフェザーストーン教授(図1)を中心に提唱されて以来、米国における標準的な予防プロトコルとして定着しつつある。リスク評価(図2)だけでなく、その結果に応じた化学療法などのう蝕管理方法までをすべて論文などの根拠に基づいて策定しているのが特長である。2.細菌培養検査とカリスクリーンの違い臨床におけるCAMBRA TM運用の第一人者キムクーチ先生は(図3)、「口腔内細菌の活動によって引き起こされるpHの低下こそ、う蝕リスクの本質である」としている。カリスクリーンはその活動性をリアルタイムに測定する装置として開発された。従来の細菌培養検査は結果が出るまで48~72時間を要する上、それによって推定できる細菌数は、実態としての細菌の活動性を反映していない場合がある。無論、細菌培養検査には患者に口腔内細菌の存在を認識させるという特長もあるため、その意義を否定するものではないが、チェアサイドで即時的かつ直接的に口腔内細菌の活動性を測定できるメリットは計り知れない。「う蝕リスク評価は来院ごとに行うべきもので、今現在の口腔内を反映したものでなくてはならない」とはキムクーチ先生の言葉だが、これは今後の予防歯科の在り方に一石を投じ得る理念だと言えるだろう。3.カリスクリーンの仕組みと使い方あらゆる生物は、活動の際にATP(アデノシン三リン酸)を産生・消費する。口腔内細菌も例外ではなく、糖質が豊富な環境では活発に活動し、ATPの産生量が増加する。カリスクリーンではこのATPを酵素ルシフェラーゼによって発光反応させ(図4-1)、その光量を測定することで口腔内細菌の活動性を推測している。ATP発光量は口腔内のMS菌数との相関関係が証明されているだけでなく(図4-2)、リスク評価の結果や患者のDMFTとの関連性を示す論文(図4-3)も存在しており、信頼性は高い。使用方図1フェザーストーン教授図2う蝕バランス/インバランスモデル疾患指標●ホワイトスポット●3年以内の修復●エナメル質病変●象牙質う窩リスク因子●悪玉菌●唾液がないこと●食習慣(不良)防御因子●唾液●シーラント●抗菌剤●フッ化物●効果的な食習慣フェザーストーン教授による日本初の公演CAMBRA講演会の模様。(2015年12月)う蝕の進行脱灰と再石灰化のいずれが優位であるかによってう蝕リスクを評価する。う蝕回避図3キムクーチ先生の診療室カリスクリーンの開発者キムクーチ先生。オレゴン州で開業する傍ら、う蝕予防関連製品の開発に携わっている。また予防に不可欠な行動変容「Wellness Coaching」も取り入れている。14 Dental Products News 219