Dental Products News218

Dental Products News218 page 21/28

電子ブックを開く

このページは Dental Products News218 の電子ブックに掲載されている21ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
Dental Products News218

ようになった。一方ジャスティⅢは、根管口から解剖学的根尖に至る電流値の変動に注目した「統合補正測定システム」を搭載する電気的根管長測定器である。これは、根管形態により電流値が変化する(図7)という新しい測定概念が基本となっており、解剖学的根尖の位置のみならず、ファイル先端から解剖学的根尖までの距離も正確に計測(解剖学的根尖から3mm以内であれば0.2mm単位で測定が可能)できる。ジャスティⅢでも二種類の周波数(500Hz・2kHz)を用いるが、それぞれの周波数において3種類の基準根管形態(円筒形態・円錐形態・段付き形態)から得られる電流値を用いてグラフを作成すると図8のようになる。この3つの曲線が基準パターンとなり、実際の測定電流値もこの曲線のどれかに近似した値をとる。どの基準パターンに近似するかがわかれば、別に記録されている電流値とファイル先端-解剖学的根尖の距離の相関情報(図9)よりファイルの位置が確定される。つまり、相対値法のように「解剖学的根尖の位置の誤差が少なくなるような計算式」を用いて根尖位置を求めているのではない。ジャスティⅢの中に数多くの根尖位置およびファイル先端-解剖学的根尖に関する情報が記録されており、2種類の周波数における測定電流値と基準パターンを絶えず照らし合わせ、一致したものを結果として示している。これが「統合補正測定システム」である。このシステムの採用により、従来の測定器では不可能だったファイル先端の位置を測定することができるようになり、また測定精度自体も向上した。その結果、作業長決定のために解剖学的根尖までの距離を測定する(=その部分までファイルを突き出す)必要がなく根尖エリアを優しく扱うことが可能になったことなど、様々なメリットを獲得することができたと考えている。筆者はジャスティⅢを発売当初から使用しているが故障もなく、また「統合補正測定システム」に助けられ、今では日常臨床に欠かせない器機になっている。図7新しい測定概念円筒形態円錐形態段付き形態0.5mm1.6mm1.6mm5mm16mm5mm0.8mm根管形態により電流値が変化するという新しい測定概念が基本となっている。様々な検討より、形態はこの3パターン(円筒形態・円錐形態・段付き形態)に集約されることがわかった。0.5mm0.5mm3mm0.5mm図8円筒形態・円錐形態・段付き形態それぞれの電流値の比較500Hz電流値Y0円筒形態円錐形態段付き形態Y12種類の周波数において3種類の基準根管形態から得られる電流値を用いて作成したグラフ。黄が円筒形態、赤が円錐形態、緑が段付き形態によるもの。この3つの曲線が基準パターンとなり、実際の測定電流値もこの曲線のどれかに近似した値をとる。Y2Y4Y3Y5X5X4X3X2X1X02kHz電流値図9電極値とファイル先端一解剖学的根尖間距離の相関情報(例:円錐形態)電流値uA1210500Hz1kHz2kHz84kHz68kHz4電流値とファイル先端-解剖学的根尖間の距離の相関情報の例。ここでは円錐形態におけるものを示す。測定電流値が円錐形態の基準曲線に近似している場合、このデータを基にファイルの位置が導き出される。2076543210.50解剖学的根尖までの距離mm図7~図9:庄司茂「新たに開発した第3世代の根管長測定器ジャスティーⅢの開発理念とその精度」 Dental ProductsNews160,2~5,2006より引用・改変参考文献:庄司茂「新たに開発した第3世代の根管長測定器ジャスティーⅢの開発理念とその精度」 Dental ProductsNews160,2~5,2006