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概要

Dental Products News212

抜歯の場合抜歯に関しては、根尖病変の大きい症例・歯周疾患に罹患した歯に不良肉芽組織の掻爬を行うような場合、ほとんどの症例では肉芽を除去すれば止血するのであるが、時に炎症が強く残っている症例では、止血がしにくい場合も稀に遭遇する。そのような場合、抜歯窩に合わせたサイズのヘムコンを挿入し、数分後に速やかに止血を認めたならばヘムコンを除去し、その後にC O 2レーザーで上方の血液を蒸散し、処置を終えることができる。歯周形成外科の場合歯周形成外科では結合組織移植時の口蓋からの結合組織を採取するドナーサイトでの使用が挙げられる。本報告では、その使用例を報告するとともに、注意点を挙げる。ドナーサイトに多量の出血を認めた場合、2通りの使用方法が考えられる。一つは、ドナーサイト部位にヘムコンを結合組織採取径程度にトリミングし、挿入。数分間放置する。止血効果が強力であるため、多くの症例では止血を認め、その後通法に従い縫合を終え処置を終了できる。しかし、後出血の危惧がある場合、ヘムコンを挿入したまま縫合する場合がある。その際の注意点は、結合組織採取面積に比較して1/3以下にヘムコンをトリミングし、縫合することを推奨する。その面積を大きなものにしてしまうと、後に歯肉弁治癒の遅延が起きる恐れがあるため留意されたい。すべての外科手技は、事前のシミュレーションからその実際まで慎重かつ丁寧な対応が求められるが、時には不慮の事態に遭遇する可能性は否定できない。後出血もその一つであろうが、ヘムコンは万が一に備えておく材料であろう。症例2図7図8図9前歯部にインプラント埋入と同時に上皮付きの結合組織移植を行った。その際、多量の出血を認めた。高血圧既往の患者であったため、後出血を危惧した。ヘムコンを結合組織採取量の1/3挿入し、縫合を終えた。ヘムコンは血液を吸引して膨張することに留意されたい。縫合後、9日後の口腔内。良好な治癒を認める。症例3図10図11図12前述の症例と同様、上皮付き結合組織を採取。ヘムコンを結合組織採取量の1/3挿入し、トリミングした。両側にヘムコンを挿入して、インプラント埋入・結合組織移植術を行った。