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概要

Dental Products News212

ヘムコンデンタルドレッシングは、甲殻類から精製されたキトサンを主成分とする止血材である。赤血球凝集素のシアル酸と電気的に結合し、血液凝固反応を効率的に進行させる。つまり、血液中の赤血球と血小板を引きつけ創傷を塞ぎ止血するため、生体内の凝固系因子を介さずに凝血塊を形成する。また、製造元によると甲殻類アレルギーを含め、現在のところアナフィラキシーの発現等副作用は報告されていないそうである。日本循環器学会抗血小板、抗凝固療法に関するガイドラインでは、抗血栓治療を受けている患者の観血的処置は抗凝固剤や抗血小板剤内服継続下での施行が望ましいとされており、一般臨床医においてもPT(プロトロンビン時間)を試薬による差を補正したINRで2.5以下であれば前記薬剤内服継続下で抜歯することが勧められる。とはいえ一般の患者より止血しづらいのは事実であり、後出血で患者が再来院することも多い。このような症例ではヘムコンデンタルドレッシングが非常に有効である。10×12mmのサイズはおおよそ第三大臼歯に相当しほとんどの抜歯窩に適応できる。歯周形成外科等で遊離歯肉移植を行った場合、受給側よりも供給側の方が口蓋動脈との関係で後出血の問題を生じることが多い。このような症例もヘムコンデンタルドレッシングが非常に有効である。25×70mmのサイズはほとんどの口腔内外科処置の創面に適応できると思われる。両面とも同様の効果を発揮するため、裏表を気にせず使える点も便利である。また、出血部位に粘着する性質を持っている。逆にいうと、設置するには血液又は水分が必要である。そのため、抜歯部位に適応する場合、本製品を抜歯窩に置いた後、ガーゼ等で圧迫すると湿潤したガーゼの方へ付いてしまう場合があるので、一定時間抜歯窩をガーゼ等で圧迫した後にヘムコンデンタルドレッシングを抜歯窩に置くか、クロスマットレス縫合にて固定後ガーゼ等で圧迫するという使い方の方が使いやすいようである。症例2:遊離歯肉採取部位への活用図6図7術前の左側口蓋。遊離歯肉採取後の状態。図8図9ヘムコンデンタルドレッシングを創面に合わせカットし縫合。出血部位への粘着性があり、設置するだけでも良いが食事等での剥離を危惧し縫合した。材質的には縫合にも耐えられる。抜糸およびヘムコンデンタルドレッシングを除去した2日後の状態。止血、治癒は良好である。同側頬側(インプラント部位)の受給側はコーパックで創面の保護を行った。