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概要

Dental Products News212

歯科治療における近年のコンポジットレジンをはじめとする審美修復マテリアル、CAD/CAMテクノロジーの飛躍的な発展により、多くの臨床家がそれら技術の恩恵に預かっている。筆者もそのうちの一人であり、日々の臨床においてそれらを用いない日はないと言っても過言ではない。失活歯の支台築造では、審美性・象牙質に近似した弾性係数と接着による一体化により歯牙破折を防止できるという点を重視して、前歯/臼歯問わず積極的にファイバー補強接着レジンコア(以下ファイバーコア)を応用している。ルクサコアZの特徴ルクサコアZーデュアルには、A3、LO:ライトオペーク、B:ブルーの3種類のシェードが用意されている。A3は審美部位に最適な色調であり臼歯部も含めて汎用性が高い。LOは一般的な象牙質よりも不透明性が高く歯質との境界視認性が高い。またBは臼歯部のメタルセラミックや金属冠修復の最終支台築造に用いることが可能であるが、筆者はLOと共に、歯牙挺出時のフックの固定・根管治療時の隔壁・歯周初期治療時の暫間的築造等に使用している。その視認性の高さにより、最終的な支台築造の際に旧材料の確実な除去が可能となるからである(症例1)。またジルコニアが含有されているため明らかに硬く、一般的なレジンコア材よりも象牙質に近い切削感が得られることも精密な歯冠形成を行う上で有利な点であろう。個人的には充填用のハイブリッドレジンの切削感に近いと感じている。ルクサコアZ使用時の注意点ジルコニア含有のため圧縮強度380MPa、曲げ強度150MPaという非常に高い物性を達成しているが、象牙質・レジン複合体としてのファイバーコアを長期に渡り正しく機能させるためには、適切なフェルール確保等いくつかの要件がある。特に支台築造の際には歯面清掃や防湿等、接着力を十分に発揮させるプロトコールに最大限の注意を払う必要がある事は言うまでもない(症例2)。終わりに社会の成熟とともに今後益々審美性と機能性を併せ持った高次元の治療が求められるようになるであろう。今回はルクサコアZを用いた効果的な臨床応用を報告させて頂いたが、この多くの可能性を持つ材料を基本的原則に則り正しく用いることで、術者・患者双方の利益につながっていくであろうと考えている。是非一度、お手に取って頂きたい。症例2図9図10図1170歳男性、全体の治療を希望して来院。前歯部は中等度の歯周疾患に罹患している失活歯であり、審美・機能回復のため再治療を行う。初期治療後の再評価から、審美性と歯周組織の安定を獲得するために切除療法、及び再生療法を行った。組織の治癒を待って支台築造を行う。接着を確実に行うためには支台築造時の湿度のコントロールが重要である。可能であればラバーダム防湿を用いて確実な処置を目指すことは根管治療と同様である。図12図13図14歯周組織が成熟し、最終形成が完了した状態。支台歯には変色が見られるものの、ルクサコアZーデュアル:A3色を用いることで、審美的な支台築造が可能となる。条件が悪いながらも#12にも最低限のフェルール獲得がなされ、予知性が向上している。プロビジョナルレストレーションを用いて、歯周組織の更なる成熟をコントロールする。最終補綴物は歯冠歯根比の関係から連結のジルコニアクラウンとした。患者の希望によりやや白めの色調としたが、審美的・機能的に満足な結果を得ることができた。(技工:小林恭之氏)