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概要

Dental Products News212

臨床的には、特に太く長いメタルコアやスクリューポストの存在が、再根管治療を進める上で大きな障害となる。こうした金属製のポスト除去には、一般的に超音波振動によって除去する方法が用いられているが、それによって除去できない症例も多数存在し、結局はポストそのものを直接バーで切削して除去するという、大変な困難と危険を伴う操作が日常的に行われているのが現状ではないだろうか。根管内のメタルポストの切削は、ポストのみならず根管内壁の象牙質を同時に切削してしまう可能性が高く、パーフォレーションをはじめとする偶発症や、歯質を著しく薄くしてしまうことによって、将来の歯根破折のリスクを増加させるなど、歯そのものの生存率を大きく低下させる危険性があると考えられる。この度、そのような難しい症例におけるメタルポストの除去手段として、「ラダルポストリムーバルシステム(PRS)」が認可された。PRSは米国歯内療法専門医であるClifford J. Ruddle氏によって開発されたメタルポスト除去システムであり、米国ではすでに15年以上に渡り、専門医らに使用され続けているという実績を持つ器具である。本稿ではこのPRSを応用したメタルポスト除去症例を供覧し、その使用方法と勘所について解説する。症例2図1761歳男性? 6再根管治療症例図18図191 2 3 4カットラダルポストリムーバルシステムによるメタルコア除去のステップ。1メタルコア上部の形成2トレフィンで先端3mmを切削3タップとシリコンクッションを装着4リムーバで保持しタップごとメタルコアを除去6再根管治療症例。PRSによるメタルコア除去。口蓋根に太く長いメタルコアが認められた。初診時口腔内写真。メタルボンドクラウンが装着されている。通法によりクラウンを除去。図20図21図22図23頬舌側メタルコアを分割したところ、頬側根管のメタルコアは超音波振動のみで除去できた。翌週、口蓋根の太くて長いメタルコアの除去を試みた。歯冠部のメタルコアをPRSトレフィンを使用できる形態に調整。PRSを使用できる2~3mmの突起形態に形成後。PRSトレフィンNo.4で規格化する。図24図25図26図27PRSのNo.4に規格化された突起。その突起にPRSのNo.4タップを反時計回りでねじ込んで一体化する。周囲の歯質にしっかりと当たる適切なシリコンクッションを選択して歯質まで下げる。リムーバを装着し、シリコンクッションに食い込む程度に押し広げる。図28図29図30図31その状態でタップに強度の超音波を当てる。除去されなければ少しリムーバを広げ、再度超音波を当てる。超音波を根気強く当てていると、セメントが剥離してメタルコアが除去される。PRSによって除去されたメタルコア。メタルコア除去後の口腔内。根管内の歯質が傷つくことなく除去されている。