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オールセラミックスクラウンのショルダー形成ショルダーO Kバーの活用岡口守雄辺見浩一岡口歯科クリニック?東京都千代田区開業近年、白いきれいな歯を入れたいという患者の審美的な要求の高まりとともに、オールセラミックスクラウンのニーズはさらに大きくなっている。オールセラミックスクラウンを成功させる要件の一つにマージンのショルダー形成が挙げられる。一定のショルダー幅で、均一で滑らかな一線のフィニッシュラインを持った形成が求められる。従来、このショルダー形成を行うためのバーは、底面の平らなラウンデッドショルダーバーや、半円形のショルダーバーを使用していた。しかし、底面が平らなバーでは曲面の形成が難しく、半円のバーではスキャロップ形態は形成しやすいが、マージン部がJ型マージンや遊離エナメル質を作りやすい。そのため、理想的なオールセラミックスクラウンのショルダーマージンを形成するためにはバーの先端が半円より少し大きなアールを持ったバーが必要ではないだろうか。それが、今回ご紹介するショルダーOKバーである。ショルダーOKバーは、先端がバーの半円より大きなアールで形成され、先端周囲に20度~30度の湾曲を持ったラウンド形態を与えた※。これにより、バー先端は、大きなアールを持つなだらかな曲面形態になり、バーを歯軸と並行に動かして形成するだけで遊離エナメル質や凹凸の少ない均一なショルダーマージンの形成が可能である。ショルダーOKバーは基本セットとして6本の種類があり、シャンク部のカラーコードが、赤が湾曲角30°、黄が20°である。30°のタイプは、先端のアールが20°よりも少し小さく、オールマイティーに使いやすい。スキャロップの強いケースや、ショルダーの幅をあまり大きく付けない時に有効である。一方で、20°のタイプはバーの先端が少し大きなアールを持ち、ショルダーの幅を大きく付けたい時やフラットな形成を行う時に適している。刃部径は3種類あり、最もオールマイティーに使えるのが1.0mmである。また、0.7mmのタイプは隣接面の形成に適している。従来、隣接面は細めの槍状のバーで形成していたが、槍状のバーではショルダーは付与できない。また、従来のショルダーバーは幅の広いものが多く隣接面には向かないものが多かった。0.7mmという太さは隣在歯を傷つけずショルダーを形成するのに非常に適している。一番太いタイプでも1.2mmと径は抑えられている。太いショルダーバーは歯肉を傷つけやすくなり、出血しにくいように細目の形となっている。ダイヤ粒径は通常ffで最終仕上げ形成が可能である。他に、今回紹介していないが臼歯部用として、バーの全長が少し短い(19mm)のものや、少し粗めで切削力のあるfのタイプも用意されている。フィニッシングラインに沿ってバーを歯軸に平行に動かすだけで、適切なショルダー形成ができるバーである。ぜひ、臨床に取り入れて頂きたい。2012ff2010ff2007ff3012ff3010ff3007ffL1L2先端湾曲20°20°20°30°30°30°L1mm9.09.09.09.09.09.0全長(L2)mm22.022.022.022.022.022.0先端径mm1.21.00.71.21.00.7図1ショルダーOKバー基本セットコーナーズラウンデッドバーによるショルダー形成ショルダーOKバーによるショルダー形成20°2010ff30°3010ff30°abcabcシャンファーバーショルダーOKバーコーナーズラウンデッドバー図2底面が平らな、いわゆるショルダーバーでは均一な面を形成する際、マージンに対して常に直角に当てることが必要である。このような形成をスキャロップの強い形態で360°行うのは不可能である。図3ショルダーOKバーは底面周囲に大きなアールを持つため歯軸と平行に動かすだけで均一なショルダーを形成することが可能である。図4先端が半円のシャンファーバーでは形成時にJ型マージンや遊離エナメル質を作りやすい。また従来のショルダー形成用バーでは、曲面の形成が難しい。図520°と30°のタイプでは先端の設計が異なっている。3 0°はオールマイティとして、20°はフラットな形成、またショルダー幅を大きく付けたいときに用いる。図6ショルダーOKバーを用いて形成された支台歯。マージンが均一で滑らかに仕上げられている。図7製作されたオールセラミックスクラウン。図8オールセラミックスクラウンセット時。(※印)特許第3926787号(図2・3)「1本の歯への確実な補綴処置をめざす~歯肉縁下の印象を確実に採得するために」QDT vol.32(2007年7月号)より改変