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医科用CTの画像を図3に示した。特に体軸方向の画像において、歯槽骨の骨梁構造は、Finecubeによってより鮮明に描出されている。更に客観的評価のために、MTF(変調伝達関数)という物理量を用いて両者の画質の比較を行った1)、2)。MTF曲線は空間周波数の増加(=被写体がより細かくなること)によるコントラストの低下率を示すものであり、一般に曲線が上に位置するほど画像の解像度が高いことを意味している。図4に示すように、MTFを用いた物理学的評価においても、特に体軸方向の画像において、Finecubeの解像度は医科用CTを上回っていることが明らかである。2Finecubeの画素値の信頼性について医科用CT画像における画素値はCT値と呼ばれ、組織の線減弱係数と対応している。そのため、CT値を基に顎骨の骨密度や骨質をおおまかに推定することが可能である。これに対して歯科用CTでは、画素値の信頼性の低いことが、欠点の1つとしてあげられている。我々はこのことを検証するために、図5に示すような、濃度の異なる複数のハイドロキシアパタイト(HA)棒を配置したファントムを用いて検討を行った3)。その結果、Finecube画像の画素値とHAの濃度との間には高い相関があり、両者の間には医科用CTの場合と同等の直線関係が認められた(図6)。一方でFinecubeの画素値は、HA棒を空気中に置いた場合と水中に置いた場合とでは異なる値を示した(図7)。また冠状断像で測定した各HA棒の画素値のプロファイルは図8に示すとおりであり、被写体の置かれた位置による画素値の変動は、Finecubeにおいては小さいことが示された。以上の結果から、現状ではFinecube画像の画素値を直ちに骨密度に変換することは難しいと考えられる。しかしFinecubeの画素値には優れた直線性と安定性が認められることから、今後装置の更なる改良によって、Finecubeを用いた顎骨骨密度の評価が可能となることが期待できる。引用文献1)Watanabe H, et al. Modulation transferfunction evaluation of cone beam computedtomography for dental use with the oversamplingmethod. Dentomaxillofac Radiol 39:28-32, 2010.2)Watanabe H, et al. Spatial resolution ofFinecube, a newly developed cone-beamcomputed tomography system. Oral Radiol 26:56-60, 2010.3)Nomura Y, et al. Stability of voxel valuesfrom cone-beam computed tomography fordental use in evaluating bone mineral density.Clin Oral Impl Res [in press]図3Finecubeと医科用CTの画質の比較(視覚的評価)図4 Finecubeと医科用CTの画質の比較(物理学的評価)横断面体軸方向医科用CT横断面体軸方向FinecubeFinecube医科用CT体軸方向の画像において、Finecubeは、医科用CTよりも歯槽骨の骨梁構造を鮮明に描出している。横断像においても、下顎大臼歯の根管の形態は、Finecubeによってより正確に描出されているようである。MTFによる物理学的評価を行った結果、Finecubeの解像度は、特に体軸方向において、医科用CTを明らかに上回っていることが確認された。図7空気中および水中に置かれたハイドロキシアパタイト(HA)棒の画素値の比較図8ハイドロキシアパタイト(HA)棒の画素値のプロファイルFinecube(in air)r2 =0.9999Finecube(in water)r2 =0.9983FinecubeHA棒を空気中に置いて撮影HA棒を水中に置いて撮影水中に置いた場合と同様に、HA棒を空気中に置いた場合にも、Finecubeの画素値とHA濃度との間にはきわめて強い相関が見られた。しかし両者のグラフは一致しておらず、空気中の方が明らかに高い画素値を示した。Finecube冠状断像で測定した各HA棒の画素値のプロファイルを示す。Finecubeでは、被写体の位置による画素値の変動は小さいことが示された。