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ファインキューブ画像を考察する歯科用コーンビームC Tの性能評価―解像度と画素値の信頼性について―倉林亨(教授)渡邊裕(准教授)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔放射線医学分野歯科用コーンビームCT(歯科用CT)は歯科診療に特化した小型のCT装置であり、すでに各メーカーによって多くの装置が開発され市販されている。現在歯科用CTは、歯科インプラントや口腔外科、歯内療法など歯科臨床の様々な分野で広く利用されており、その有用性について数多くの報告がなされている。しかし歯科用CT装置や画像の基礎的な性能評価は、臨床医の間ではあまり行われていないようである。我々の施設では2006年にFinecubeを導入し、これまでに臨床的および基礎的な面から同装置の有用性を評価してきた。本稿では、Finecubeの画質(解像度)と画素値の信頼性について、医科用CT(64列マルチディテクターCT)との比較を中心として紹介したい。1 Finecubeの画質(解像度)についてCT画像の解像度は、画像を構成する画素(ボクセル)サイズによって影響される。Finecubeのボクセルは、一辺が100μm程度の極小の等方性ボクセル(立方体)であり、特に体軸方向の長さは、医科用CTと比較して遥かに小さい。医科用CTでは、単層または多層の線状検出器を利用するため、ボクセルの体軸方向の長さは最小でも500μm程度であり、体軸方向においても横断像と同等の高い解像度が期待できる点は、歯科用CTの大きな特徴である。同一の乾燥頭蓋骨を撮影したFinecubeと図1ファインキューブ図2歯科用CTと医科用CT医科用(ファンビーム)C T歯科用コーンビームCT←左:医科用(ファンビーム)CT?2次元的なX線ビームを体軸方向に少しずつずらしながらスキャンを繰り返す。↑上:歯科用コーンビームCT?3次元的に広がるコーンビームを用いるため、1回のスキャンで撮影が終了する。Finecube医科用CTでは二次元的な扇型のX線ビーム(ファンビーム)と単層または多層の一次元検出器を用いるのに対し、歯科用CTでは三次元的な広がりを持つ円錐状(コーンビーム)または角錐状のX線ビームと面状の二次元検出器を用いて撮影を行う。図5Finecubeの画素値の信頼性を評価する実験図6ハイドロキシアパタイト(HA)濃度とFinecubeの画素値との相関AB(ハイドロキシアパタイト棒CBCTのFOVウォーターファントムの支柱)医科用CT(in water)r2 =0.9993CFinecube(in water)r2 =0.9983医科用CT、Finecube共にHA棒を水中に置いて撮影した。中央部に濃度の異なる複数のハイドロキシアパタイト(HA)棒を配置したファントムを撮影し、Finecubeの画素値の信頼性について評価を行った。A:ファントムの全体像。HA棒は中央に配置され、その周囲は水で満たすことができる。B:上方から見たファントムの模式図C:Finecubeで撮影された画像の1例図5のファントム内部を水で満たし、HA棒を水中に置いた状態で、Finecubeと医科用CTを用いてそれぞれ撮影を行った。Finecube画像の画素値とHAの濃度との間にはきわめて強い相関があり、医科用CTと同等の直線性が認められた。